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「個人再生」と
「自己破産」
ともに、債務者と債権者の関係を調整し、再生の機会を確保する制度です。
再生は、(現実には債務減額の)再生計画による債務の一部を弁済し他の債務は免責するのに対し、破産は、債務者の財産等の清算をする制度です。
自己破産は収入がないか極めて少ない場合に申立るが、個人再生は引き続き収入の見込みがある場合に債務の一部を計画弁済しその他の部分は免責されることになります。
自己破産では、一定以上の財産(現金20万円などを越える部分)は全て清算に充てることになり手放さなければなりません。その点、再生では現有財産は手放さずに計画弁済をすることになりますが、再生計画による弁済総額は現有財産価値以上であることを要求されます。
破産にせよ再生にせよ、少なからず債権者の譲歩をえて免責をうけることになるので、手続きは地方裁判所に申立て厳格を要求されます。
収入・財産・債務等全てについて正しく申告しなければならず、隠匿や虚偽の申告は刑事罰の対象となっており、注意して手続きをしなければなりません。
個人債務者再生や自己破産は、とても大変な手続となります。
しかし、債権者に対し返済できる和解が整う見込みが無く任意整理ができなくても、個人債務者再生でなら返済でき、破産をしたくない・破産ができないような場合等の、この個人債務者再生、
そして、やむえず選択する自己破産も、苦境に立った皆様にとって、経済的に再生の機会をえるためには、とてもいい制度であると思います。
個人債務者再生
平成13年4月1日より施行された新しい制度で、民事再生法の特則的な制度です。
破産をしたくない場合の選択肢が一つ増えたことになります。
この手続きの特徴は、「住宅ローンを抱えた債務者が、住宅を手放すことなく債務を整理することができる」ということです。
ですが、住宅ローンがなければ使えないというものではありません。また、元本を一定の割合でカットする、というのも大きな特徴です。
個人債務者再生の手続は、裁判所が決めたスケジュールに基づいて進行します。
そして、最後に、債務者自身が再生計画をたてなければなりません。
この再生計画が裁判所で認可されて、そこで再生手続きは終わり、それ以降は、再生計画に従って、弁済を続けていくことになります。
申立てから再生計画が認可されるまで、約6ヶ月かかります(東京の場合)。
個人債務者再生の種類
個人債務者再生には、
@小規模個人再生、
A給与所得者等再生
の二つがあります。
住宅ローンがある場合は、「住宅ローン条項」を個人再生のオプションとなります。
小規模個人再生
○将来において継続的または反復的に収入を得る見込みがある者
○借金総額が5000万円以下であること(但し、住宅ローン等は除く)
○弁済期間は3年であること。但し、特別な事情があるときは、5年まで延長可能
○
最低弁済額
○可処分所得による制限はない(給与所得者等再生との相違)
○再生計画につき、債権者による書面決議が行われる(給与所得者等再生との相違)
給与所得者等等再生
○ 給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みのある者であって、その額の変動が小さいと見込まれる者
○借金総額が5000万円以下であること(但し、住宅ローン等は除く)
○弁済期間は3年であること。但し、特別な事情があるときは、5年まで延長可能。
○
最低弁済額
○可処分所得(小規模個人再生との相違)
○再生計画につき、債権者による書面決議はない(小規模個人再生との相違)
最低弁済額と可処分所得
小規模再生を選択するか、それとも給与所得者再生を選択するかを考えるには、
まず、 再生手続による返済予定額を考えなければなりません。
それは、次のように決めていきます。
最低弁済額
最低弁済額の速見表
(単位:万円)
※ 上記の価額に「清算価値」「可処分所得(給与所得等再生)」を考慮し大きい金額になります。
可処分所得
過去2年間の収入合計から、その期間の所得税や住民税や社会保険料を控除した額を1/2し、
1年間の収入を算出します。
その額から、政令で定める住居費などを控除した金額を算出し、その額の2倍の金額が
可処分所得となります。
また、退職やリストラで無職の状態から再就職して、安定して給与を得るようになった
場合は、安定するようになったときから、計算します。
清算価値保証
破産したら債権者に配当できるであろう額。簡単に言えば、総財産の額となります。
個人債務者再生では、清算価値より多くの返済をしなければなりません(清算価値保障原則)。
小規模個人再生の場合は、「最低弁済額」と「清算価値保証」のいずれか高い金額を、
給与所得者再生の場合は、「最低弁済額」と「可処分所得」と「清算価値保証」で、一番高い
金額を、原則3年間で支払っていくこととなります。
小規模個人再生・給与所得者再生、どちらを選択?
上記の計算に従って、「最低弁済額」「可処分所得」「清算価値」がそれぞれ判明したら、
これらの中で一番高い金額(3〜5年の分割弁済となるので、それぞれ返済回数で割る)と、
自分が毎月払えそうな金額(返済原資)を比較します。
○ 最低弁済額<可処分所得 → 小規模個人再生を選択
(但し、可処分所得と最低弁済額の差があまりない場合や、可処分所得の金額を支払って
いけそうな場合は、給与所得者再生を選択した方がいいと思われる。)
○ 最低弁済額≧可処分所得 → 給与所得者再生を選択
一般的に、上記の三つを比較した場合、可処分所得が一番高額になるケースが多いのが
実情です。
その高額な可処分所得を3年〜5年の返済回数で割った金額を返済原資として用意できるなら
よいのですが、通常は、その金額を用意できません。
従って、小規模個人再生を選択せざるを得ない、というのが現実です。
しかし、小規模個人再生の場合、債務者が提出した再生計画に対して債権者による書面決議を
行います。
再生計画に対して同意しない旨の回答をした債権者の数または債権額が法定の要件を満たせば、
再生計画が不認可になります。
(住宅ローン条項を使うときの、住宅ローン債権者は議決権者とはなりません。)
そうなると、再生手続きは終わってしまい、破産へと移行していくこともあります。
(実際は取下「給与所得」で再申立の機会があるようですが) 小規模個人再生は、こうした危険性が
あるのです。
一方、給与所得者再生の場合は、再生計画決議はありません。
従って、小規模個人再生の場合より返済予定額が高くなっても、こちらを選択する利点もある
わけです。
また、給与所得者再生の場合、申立時点において、「給与所得者再生が相当と認められない
ときは、小規模個人再生の手続に移行してもらいたい」旨を求めておくことができます。
再生計画
(例)小規模個人再生を選択 総債務額が400万円、可処分所得200万円、清算価値は60万円
債権者A(200万円)・B(50万円)・C(150万円) 返済期間は3年間とする。
最低弁済額100万円>清算価値60万円なので、100万円を3年間で支払っていくこととなる。
400万円-100万円=300万円(再生計画認可の結果免責される額)
300万円÷400万円=0.75=75%(免除率)
債権者Aに対する返済額(B、Cも同様に計算していく)
200万円-200万円×75%=50万円(Aに対する計画弁済総額)
50万円×2.778%(注1)=13,890円(毎月の返済額)
(注1)毎月の返済額の割合。
1/36=0.027777…→2.7777…%→2.778%(小数点第3位切上げ)
50万円-13,890×35回=13,850円(最終回の返済額))
このような計算をして、再生計画を作ります。
再生計画認可決定そして確定、その後
再生計画が認可決定されると「認可決定」の書面が送付され、(裁判所が決定した)再生委員の報酬に関する書面も送られてきます。
個人債務者再生手続の期間中に再生委員へ払っていた合計額が、裁判所によって決定された再生委員の報酬より多かった場合、その余剰分については返金されます。 認可決定後、各再生債権者に対し、振込口座の確認したうえ、認可決定の写しと振込口座指定書等を送付し、認可決定が確定するのを待ちます。
認可決定は認可決定の官報公告から二週間経過時に確定しますが、認可決定から公告までの所要時間により、確定日は認可決定が出た日から約1ヶ月後という目安になります。
認可決定が確定したことについて裁判所から通知がないので、こちらで確かめる必要があります。
そこで、確定の時期を見計らって裁判所に確定日を問合わせ、確定が確認できれば、確定証明書(150円)を取得して、前記のとおり、その写しを各再生債権者に送付します。
再生計画では、再生債権者への返済は「再生計画認可決定の確定した日の属する月の翌月から開始する」というようになっています。
だから、「確定日」はたいへん重要ですが、その日は再生債権者に通知がないので、いつから返済が始まるか分らないので、こちらから知らせるため、確定証明書を送付するわけです。
このようにして認可決定が確定した日の翌月から、再生計画に沿い債権者に対して(原則)3年間の返済が始まります。
再生委員
東京地方裁判所の場合、再生委員は必ず選任します。再生委員は弁護士が就任します。
そして、再生委員に、再生員の銀行口座に振込により、毎月の返済予定額を支払います。
これは、再生計画認可後、債務者が債権者に対して、ちゃんと返済していくことができるかどうかを見る履行テストですが、前記のとおり、再生委員の報酬が確定後これに当てられ精算されます。
司法書士関与の場合、再生委員の(裁判所が決定する)費用は概ね15万〜30万円のようです。 これを、裁判所が想定するスケジュールに沿い認可決定までの6ヶ月で払う場合は、25万円の場合、42,000円を5回・40,000円を1回、といういうな分割弁済になります。 これをもって、私共の受任事務は終了しますので、これまでの再生委員への振込みと同様、弁済も再生計画を遵守され、ご自分でなさってください。(当事務所では、返済の代行は行っておりません。)
個人再生の標準的スケジュール
(東京地方裁判所 民事20部)
自己破産
「自己破産」は、債務者自身の申立による破産手続ですが、破産開始決定の時点での(生活に必要なものを除く)全ての財産を失う代わりに、全ての債務の免責を目的とするものです。
支払不能(即時に弁済すべき債務を弁済できない状態)であるときに、地方裁判所に申立ます。
破産開始後、破産管財人が選任され、破産者の財産を債権者に平等に配分する手続を行うのですが、破産者の財産をもって、破産費用を支払うこともできない場合は、破産管財人選任その他の事項を決定せずに、破産開始と同時に、破産手続廃止の決定をします(同時廃止)。
自己破産といえども、財産の状況によっては、管財事件として厳格な運用がなされ、多額(30〜50万円)の予納金を要します。
東京地方裁判所では、それが原因で自己破産を申請できずにいた人の為に小額の予納金で手続できるようした制度(少額管財 予納金20万円)がなされています。
個人破産の殆どは、「同時廃止」になっています。財産もなく支払不能になる例が多いということです。
免責許可の申立は、原則破産申立とは別にしますが、自己破産では破産開始申立と同時にしたものとみなされ、特定事由(免責不許可事由)に該当しない限り、免責許可の決定がなされます。
免責許可により復権(破産者の状態でなくなる)できますが、そうでない場合は、少なくとも10年は復権できません。
自己破産を選択できないケース
● 免責不許可事由の1以上に該当する場合・・・破産者になっても免責されない。
・ 債権者を該する目的で財産処分等をした
・ 浪費・賭博等により財産を減少し過大な債務を負担した
・ 開始前1年内に破産原因を知りながら信用取引で財産を取得
・ 帳簿・書類・物件の隠匿、偽造、変造
・ 虚偽の債権者名簿の提出
・ 裁判所の調査に、説明を拒み、虚偽の説明
・ 7年内に免責許可申立があった
その他
● 破産によるデメリットを受け入れられない場合
● 失いたくない財産がある場合
● 失いたくない資格に破産による制限がある場合
など
自己破産をとまどう事情
財政的破綻に苦しみながら今ひとつ踏み出せない自己破産ですが、間違った解釈してませんか?
◆ 住民票や戸籍に記載されると、みんなに知られてしまいギクシャクしはしないか
破産しても、戸籍や住民票に記載されることはありません。
本籍の役所で発行される身分証明書には破産者であることが記載されます。
しかし、免責が得られれば、復権するのでそれ以後は記載されません。
業務許認可をうけた会社の役員にでもならなければ、あまり、身分証明書を要することが
ありません。
◆ 仕事をやめなければならないのでは?
破産を資格制限とする司法書士、保険の外交員、警備員等は、やめざるをえませんが、
破産者も家族もクビになることはありません。
制限資格にしても、免責等により復権すれば、制限が解除されます。
◆ 破産を知られはしまいか?
官報に掲載されます。 官報はInternetでも閲覧できますが、掲載紙にせよInternetにせよ
官報をみて気づく人はまずいないでしょう。
大会社の場合、官報をチェックするのを業務にしている役職もあるようですが、金融業でも
ないかぎり個人の破産まではチェックしないでしょう。
◆ 選挙権も、なくなりません。
生活に必要な財産は残される!
破産した場合であっても、破産者の財産のうちで破産財団に属さず、手元に残される財産を「自由財産」といいます。
現行破産法には、「自由財産拡張制度」もあります。
☆ 現金 99万円
必要生活費の3ヶ月分 99万円は、本来的な自由財産ですから、自由財産拡張の申立ては不要です。
預貯金は現金ではないので、これを自由財産とするには自由財産拡張の申立てを要しますが、管財人の意見をきき、裁判所がきめるので、当然になるものではありません。
strong>☆ 金銭以外の差し押さえ禁止財産
(民事執行法§131)
@ 生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
A 一月間の生活に必要な食料及び燃料
B 自己の知的または肉体的な労働による業務欠くことができない器具その他の物
C 実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの
D 仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物
E 債務者に必要な系譜、日記、商業帳簿及びこれらに類する書類
F 債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物
G 債務者等の教育施設における学習に必要な書類及び器具
など
strong>☆ その他の自由財産
破産管財人が破産財団から放棄した財産や、破産手続開始決定後に新たに取得した財産(新得財産)も自由財産となる。
非免責債権
免責許可の決定があっても、下記の債権は免責されず、事後も弁済義務を負います。
(1) 生命・身体を侵害する不法行為に基づく損害賠償請求権
(2) 養育費
同時廃止の場合の自己破産のスケジュール
見積請求(PDFファイルで送付)
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